壁芯面積と登記面積の違い|同じ部屋で3.32㎡差が出る理由を宅建士が実例で解説

壁芯面積64.23㎡と登記面積60.91㎡の違いを間取り図で示した図解。壁の中心線と内側の線で測り方が異なる 物件選び

中古マンションを探していると、同じ物件なのに、広告によって専有面積が違うことがあります。

例えば、東京都荒川区にある「ルナタウン西日暮里401号室」。

この部屋には、2つの面積があります。

  • 壁芯面積:64.23㎡
  • 登記面積:60.91㎡

その差は、3.32㎡です。

同じ部屋なのに、なぜこれほど数字が違うのでしょうか。

「どちらが正しい面積なのか」「実際に住める広さはどちらなのか」と疑問に思う方もいるでしょう。

結論から言えば、どちらも異なる測り方に基づく面積であり、数字が違うこと自体はおかしくありません。

ただし、この違いを理解せずに物件を比較すると、坪単価の判断を誤ったり、住宅ローン控除の面積要件を見落としたりする可能性があります。

この記事では、宅地建物取引士の私が、実際の中古マンションを例に、壁芯面積と登記面積の違い、価格比較や税制への影響、購入前の確認ポイントを解説します。

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壁芯面積と登記面積(内法)の違い

マンションの専有面積には、主に「壁芯面積」と「内法面積」という2つの測り方があります。

違いは、壁のどこを境界として面積を計算するかです。

壁芯は壁の中心、内法は壁の内側で測る

壁芯面積(へきしんめんせき)

壁や柱などの中心線を基準に計算する面積です。

例えば、隣の住戸との間に厚い壁がある場合、その壁の中心線までを床面積に含めます。

マンションの販売広告やパンフレットでは、原則としてこの壁芯面積が使われます。

内法面積(うちのりめんせき)

壁の内側を基準に計算する面積です。

壁の厚みを含まないため、通常は壁芯面積より小さくなります。

区分所有マンションの登記事項証明書に記載される専有部分の床面積は、この内法面積です。

比較項目壁芯面積内法面積
測定する位置壁の中心線壁の内側
壁の厚み一部を含む含まない
面積の大小通常は大きい通常は小さい
主な使用場面販売広告・パンフレット登記・税制の面積判定
マンション登記原則使用しない使用する

なお、戸建住宅の登記面積は原則として壁芯方式で計算されます。マンションと同じように考えないよう注意が必要です。

面積差の目安は5〜10%。小さな部屋ほど割合が大きくなる傾向

壁芯面積と内法面積の差は、一般的に5〜10%程度が一つの目安とされています。

ただし、これはすべてのマンションに当てはまる決まった数値ではありません。

差が生じる割合には、次のような条件が関係します。

  • 壁や柱の厚み
  • 住戸の形状や外周の長さ
  • 部屋の広さ
  • 建物の構造

同じ構造条件で比較すると、住戸が小さいほど壁の占める面積の割合が大きくなり、面積差の割合も大きくなる傾向があります。

一方、広い住戸であっても、壁の厚みや形状によって差が大きくなることはあります。

実務ではこう見る

私は物件資料を見るとき、専有面積の数字だけでなく、まず「壁芯」「登記」のどちらの面積なのかを確認します。

特に50㎡前後の中古マンションでは、数㎡の差が住宅ローン控除の面積要件に関係することがあるため、広告だけで判断しないことが大切です。

実例:ルナタウン西日暮里401号室は3.32㎡の差

ここからは、実際の物件を使って比較します。

今回取り上げるのは、東京都荒川区西日暮里1丁目にある「ルナタウン西日暮里401号室」です。

JR常磐線「三河島」駅から徒歩5分、2008年3月築、RC造11階建ての4階部分にある2LDKの住戸です。

重要事項説明書に記載する2つの面積

今回の物件の面積は、次のとおりです。

項目面積
壁芯面積64.23㎡
登記面積(内法)60.91㎡
面積差3.32㎡
壁芯面積に対する差の割合約5.2%

64.23㎡から60.91㎡を引くと、3.32㎡です。

壁芯面積を基準にすると、約5.2%の差があります。

ここで理解しておきたいのは、登記面積が小さいからといって、その分だけ部屋が小さくなったわけではないということです。

同じ住戸を異なる基準で計算したため、数字に差が生じています。

重要事項説明書で専有面積を確認する際も、壁芯面積と登記面積を区別して理解することが重要です。

また、専有面積とは別に、室内の柱の出っ張りや梁の位置などによって家具の配置が制限される場合もあります。

実際の使いやすさは、面積の数字だけでは判断できません。

坪単価が約20万円変わる

面積の違いは、物件価格を比較するときにも影響します。

ルナタウン西日暮里401号室の販売価格6,950万円を、それぞれの面積で割ると、次のようになります。

比較項目壁芯面積で計算登記面積で計算
販売価格6,950万円6,950万円
専有面積64.23㎡60.91㎡
坪数約19.43坪約18.43坪
㎡単価約108.2万円約114.1万円
坪単価約357.7万円約377.2万円

※各単価は表示値を四捨五入した概算です。

同じ6,950万円の住戸でも、壁芯面積で計算すると坪単価は約357.7万円、登記面積では約377.2万円になります。

その差は約19.5万円/坪。およそ20万円です。

もちろん、実際に販売価格が変わったわけではありません。

割り算に使う面積が違うことで、㎡単価や坪単価が変わるのです。

例えば、Aマンションは壁芯面積、Bマンションは登記面積で坪単価を計算していた場合、その数字をそのまま比較するのは適切ではありません。

実務ではこう見る

私が中古マンションの価格を比較するときは、面積の基準をそろえてから㎡単価や坪単価を確認します。

そのうえで、階数、方角、築年数、管理状況、室内の状態などを考慮します。

坪単価は比較に便利な指標ですが、それだけで物件の割安・割高を判断できるものではありません。

広告の面積がバラバラになる理由

同じ中古マンションでも、掲載する不動産会社や広告媒体によって面積表示が異なることがあります。

その理由の一つが、不動産広告で認められている面積表示のルールです。

不動産の表示に関する公正競争規約では、マンションの床面積は原則として壁芯面積で表示します。

一方、中古マンションの場合には、登記簿に記載された内法面積を、その旨を明らかにして表示することも認められています。

首都圏不動産公正取引協議会も、中古マンションの登記面積による表示について、次のような表記例を示しています。

「専有面積/○○㎡(登記面積)」

参考:首都圏不動産公正取引協議会|物件の内容・取引条件等に係る表示基準

つまり、同じ中古マンションについて、

  • A社の広告:64.23㎡(壁芯)
  • B社の広告:60.91㎡(登記面積)

という表示がされる場合があります。

測定基準が明示されていれば、数字が違っていても、それだけで誤った広告とは限りません。

ただし、面積の種類が明記されていない場合や、資料ごとに数字が食い違う場合は、掲載元に確認しましょう。

実務ではこう見る

私は、販売図面・物件ページ・登記事項証明書の数字が一致しないときは、まず面積の種類を確認します。

大切なのは、数字が一致しているかどうかだけではなく、それぞれの数字にどのような根拠があるかです。

広告に64.23㎡と記載されていても、それを登記面積だと決めつけないことが重要です。

面積の違いで影響が出る3つの場面

壁芯面積と登記面積の違いは、単なる表示の問題ではありません。

中古マンションを購入する際には、特に次の3つの場面で確認が必要です。

1.物件を比べるときは同じ基準の面積で比較する

中古マンションを検討するとき、似た立地や価格の物件を比較することがあると思います。

例えば、同じ価格帯の2つのマンションで、次のように表示されていたとします。

  • Aマンション:65㎡(壁芯)
  • Bマンション:62㎡(登記面積)

この数字だけを見て、Aマンションの方が3㎡広いと判断することはできません。

Aマンションの登記面積も確認するか、Bマンションの壁芯面積を確認して、同じ基準で比べる必要があります。

特に不動産投資で㎡単価や坪単価を使って物件を比較する場合、この違いが判断に影響します。

また、面積が広くても、廊下が長い間取りや室内に柱が張り出している間取りでは、家具配置などに制約が出ることがあります。

図面と現地の両方で、使いやすさも確かめたいところです。

2.住宅ローン控除の50㎡・40㎡ラインは登記面積で判定する

住宅ローン控除を検討している方にとって、面積の違いは特に重要です。

住宅ローン控除には床面積の要件があり、原則として50㎡以上が一つの基準になります。

また、住宅の種類や取得・居住時期、所得などの条件によっては、40㎡以上50㎡未満でも対象になる制度があります。

ただし、40㎡以上ならすべての住宅が対象になるわけではありません。

ここで注意したいのは、床面積の判定は、広告の壁芯面積ではなく、登記事項証明書に記載された面積で行うという点です。

例えば、広告の壁芯面積が52㎡のマンションを考えてみましょう。

今回の実例と同程度の約5.2%の面積差があると仮定すると、登記面積は約49.3㎡になります。

面積の種類床面積
広告の壁芯面積52㎡
仮定した面積差約5.2%
想定する登記面積約49.3㎡

※説明のための仮定であり、実際の登記面積を推定できるものではありません。

広告では50㎡を超えていても、登記面積では50㎡未満になる可能性があるのです。

なお、住宅ローン控除は自分が居住する住宅についての制度です。賃貸に出すことを目的として購入する投資用マンションには、通常は適用されません。

また、床面積以外にも要件があるため、面積だけで適用の可否を判断することはできません。

最新の要件は国税庁・国土交通省の公式情報で確認してください。

参考:
国税庁|中古住宅を取得した場合の住宅借入金等特別控除
国土交通省|住宅関連税制

3.管理費・修繕積立金の算定基準は管理規約で確認する

マンションを所有すると、一般的に毎月の管理費と修繕積立金が発生します。

これらの負担額は、専有部分の面積や共有持分などに応じて決められている場合があります。

ただし、すべてのマンションで壁芯面積や登記面積を直接使って計算しているわけではありません。

具体的な算定方法や負担割合は、各マンションの管理規約などで確認する必要があります。

壁芯面積と登記面積の違いだけを理由に、管理費や修繕積立金が過大に請求されていると判断することはできません。

購入前には、現在の月額だけでなく、長期修繕計画や将来の修繕積立金の見直し予定も確認しておきたいところです。

実務ではこう見る

自分で住むための購入でも、不動産投資でも、私は「面積」「価格」「毎月の維持費」を分けて確認します。

住宅ローンの返済額や想定家賃だけでなく、管理費・修繕積立金を含めた毎月の負担を把握することが大切です。

中古マンション購入前に確認したいこと

壁芯面積と登記面積の違いを理解したら、実際に購入する前に資料を確認しましょう。

私が確認しておきたいと考える項目は、次のとおりです。

購入前チェックリスト

  • ☐ 登記事項証明書で専有部分の床面積を確認した
  • ☐ 重要事項説明書で壁芯面積と登記面積の両方を確認した
  • ☐ 販売広告の「壁芯」「登記面積」という注記を確認した
  • ☐ 坪単価や㎡単価を同じ面積基準で比較した
  • ☐ 住宅ローン控除を検討する場合、登記面積で適用要件を確認した
  • ☐ 管理費・修繕積立金の負担額と算定根拠を確認した

特に重要なのは、登記事項証明書です。

中古マンションの場合、建物の登記事項証明書の「専有部分の建物の表示」に床面積が記載されています。

住宅ローン控除の面積要件を検討するときにも、この数値が基準になります。

重要事項説明書に両方の面積が明示されていない場合は、取引を担当する宅地建物取引業者に確認しましょう。

実務ではこう見る

私は、物件の検討段階から面積の違いを整理しておくことが大切だと考えています。

特に契約直前になって「登記面積が思っていたより小さい」と分かると、税制の確認や資金計画の見直しが必要になる場合があります。

疑問があれば、購入申込みの前に確認しておくと安心です。

よくある質問

Q1.壁芯面積と登記面積が違うのは、違法な広告ですか?

A.面積が違うことだけで、違法とはいえません。

壁芯面積と登記面積は測定方法が異なるため、同じマンションでも数字が違うことがあります。

中古マンションでは、登記面積であることを明示して表示することも認められています。

ただし、面積の種類を誤認させる表示や、根拠のない数値を掲載することは別の問題です。

不明な場合は、広告の掲載元に確認してください。

Q2.内法面積は、実際に家具を置ける広さと同じですか?

A.必ずしも同じではありません。

内法面積は、壁の内側を基準として計算した床面積です。

室内に柱が張り出していたり、家具の配置を妨げる部分があったりする場合、実際に自由に使える床の広さとは一致しません。

また、バルコニーの面積は通常、専有部分の登記面積には含まれません。

生活のしやすさを判断するときは、面積表示とあわせて間取り図や現地を確認しましょう。

Q3.住宅ローンの審査も登記面積で判断されますか?

A.住宅ローンの審査基準は金融機関や商品によって異なります。

金融機関によっては、融資対象物件の床面積に条件を設けている場合があります。

住宅ローン控除で使う登記面積の基準と、金融機関が融資審査で使う基準を混同しないことが大切です。

小規模な中古マンションを検討する場合は、利用予定の金融機関に面積要件を確認してください。

実務ではこう見る

私なら、購入を検討している段階で住宅ローンの融資条件と税制の適用条件を別々に確認します。

融資を受けられることと、住宅ローン控除を利用できることは同じではありません。

まとめ|面積は数字よりも「測り方」を確認する

中古マンションの壁芯面積と登記面積は、同じ部屋でも数字が異なります。

今回のルナタウン西日暮里401号室では、

  • 壁芯面積:64.23㎡
  • 登記面積:60.91㎡
  • 面積差:3.32㎡(約5.2%)

という違いがありました。

同じ6,950万円の住戸でも、面積の測り方によって坪単価は約357.7万円から約377.2万円へと変わります。

ここで押さえておきたいのは、次の3点です。

  1. 物件比較では、壁芯と登記のどちらかに面積基準をそろえる。
  2. 住宅ローン控除の床面積要件は、登記面積で確認する。
  3. 購入前に広告・重要事項説明書・登記事項証明書を照合する。

実務ではこう見る

私は、中古マンションを比較するとき、専有面積の数字が大きいか小さいかだけでなく、その数字が何を表しているのかを確認することが重要だと考えています。

広告の面積が違っていても、測定基準を理解すれば、その理由が分かる場合があります。

中古マンションの購入でも不動産投資でも、数字の根拠を確かめてから判断することが大切です。

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