不動産投資を始めるとき、多くの人が最初に見る数字が「利回り」です。
しかし、利回りが高いからといって、必ずしも手元に多くのお金が残るとは限りません。
「家賃収入が入ったら、実際いくら残るの?」
「ローン返済はどう考える?」
「管理費や修繕費は?」
「税金はいくらかかる?」
不動産投資では、こうした収入と支出をまとめて考えることが重要です。
特に確認したいのが、毎月・毎年の収入から支出を差し引いて、実際に手元に残るお金であるキャッシュフローです。
この記事では、不動産投資初心者の方に向けて、家賃収入、経費、ローン返済、キャッシュフロー、税金の基本まで、できるだけわかりやすく解説します。
不動産投資の収支とは?
不動産投資の収支を考えるとき、まず覚えておきたいのは、
「家賃収入=利益ではない」
ということです。
例えば、毎月10万円の家賃収入がある物件でも、その10万円がすべて手元に残るわけではありません。
家賃収入から、
管理費・修繕費・固定資産税・保険料・ローン返済・その他の支出
などが出ていきます。
例えば、単純化して考えると、
家賃収入 10万円
- 管理・修繕など 2万円
- ローン返済 5万円
= 手元に残るお金 3万円
というイメージです。
もちろん実際の収支は物件ごとに異なりますし、税金なども考える必要があります。
また、空室になれば家賃収入そのものが減る可能性があります。
そのため不動産投資では、物件広告に掲載されている「家賃」や「利回り」だけではなく、
「すべての収入と支出を考えた結果、いくら手元に残るのか」
を確認することが大切です。
この手元のお金の流れを考えるうえで重要になるのが、次に説明するキャッシュフローです。
キャッシュフローとは?不動産投資で手元に残るお金
キャッシュフローとは、簡単にいうと**「実際のお金の流れ」**のことです。
不動産投資では、家賃などの収入から、実際に支払うお金を差し引いて、どのくらい現金が手元に残るのかを確認します。
基本的な考え方は、
家賃収入などの収入
- 物件運営にかかる支出
- ローン返済
= キャッシュフロー
です。
例えば、年間の家賃収入が120万円の物件で、
年間家賃収入 120万円
- 管理・修繕・税金・保険など 30万円
- 年間ローン返済 60万円
= 年間キャッシュフロー 30万円
だったとします。
この場合、単純化すると年間30万円、月平均では約2万5,000円が手元に残る計算です。
ただし、ここで注意したいのが満室を前提にしすぎないことです。
実際の賃貸経営では、
- 空室
- 家賃の下落
- 設備の故障
- 突発的な修繕
- 入退去に伴う費用
などが発生する可能性があります。
そのため、現在の家賃収入だけで計算するのではなく、ある程度の空室や修繕を想定した収支シミュレーションをしておくことが重要です。
また、キャッシュフローと税務上の「利益」は同じではありません。
例えば、ローン返済のうち元金部分は現金として出ていきますが、原則として必要経費にはなりません。一方、建物などの減価償却費は、実際にその年に現金を支払っていなくても経費として計上される場合があります。
この違いがあるため、
「現金はいくら残ったか」と「税金を計算するときの所得はいくらか」は分けて考える
ことが大切です。
不動産投資ではどんな経費・支出がかかる?
不動産投資では、家賃収入だけでなく、物件を所有・運営するためのさまざまな支出があります。
代表的なものを確認しておきましょう。
① 管理費・管理委託費
区分マンションでは建物の共用部分などを維持するための管理費がかかることがあります。
また、入居者募集や家賃管理、入居者対応などを管理会社へ依頼する場合は、管理委託費が発生します。
② 修繕費・修繕積立金
設備の故障や内装の修繕など、物件を維持するための費用が発生します。
区分マンションでは、将来の大規模修繕などに備えて修繕積立金を毎月支払うケースが一般的です。
③ 固定資産税・都市計画税
不動産を所有していると、固定資産税がかかります。
物件の所在地などによっては都市計画税もかかるため、年間の収支を計算するときに忘れないようにしましょう。
④ 火災保険・地震保険など
物件に対するリスクに備えて、火災保険などの保険料が必要になる場合があります。
加入内容や物件によって保険料は異なります。
⑤ 入居者募集・退去に伴う費用
入居者が退去した場合、原状回復やクリーニング、次の入居者を募集するための費用などが発生することがあります。
空室期間中は家賃収入が入らないことも考慮する必要があります。
⑥ ローン返済
融資を利用して物件を購入した場合、毎月ローンを返済します。
ここで重要なのは、ローン返済額のすべてが税務上の必要経費になるわけではないという点です。
一般に、返済額のうち元金部分は必要経費にならず、事業に対応する借入金の利息については一定の条件のもと必要経費になる場合があります。
つまり、「実際に出ていくお金」と「税金を計算するときの経費」は同じではありません。
この違いは、不動産投資の収支を考えるうえで非常に重要です。
不動産投資にかかる主な税金
不動産投資では、物件を購入するとき、所有している間、そして売却するときに、それぞれ税金が関係します。
税金を考えずに収支を計算すると、想定していたより手元にお金が残らないこともあります。
① 購入時にかかる税金
物件を購入するときには、代表的なものとして、
不動産取得税・登録免許税・印紙税
などがあります。
物件価格とは別に必要になるため、購入前の資金計画に含めておくことが大切です。
② 所有中にかかる税金
物件を所有している間は、固定資産税がかかります。
物件の所在地などによっては、都市計画税も課税されます。
毎月支払う費用ではない場合でも、年間収支を計算するときには忘れずに考えておきましょう。
③ 家賃収入に関係する所得税・住民税
個人で不動産賃貸業を行う場合、家賃収入から必要経費などを差し引いて計算した不動産所得が、所得税・住民税の計算に関係します。
ここで重要なのは、
「家賃収入そのものに、そのまま税率を掛けるわけではない」
ということです。
収入と必要経費を整理して所得を計算し、給与所得など他の所得がある場合には、それらとの関係も含めて税額が決まります。
④ 売却時にかかる税金
物件を売却して利益が出た場合には、譲渡所得に対する所得税・住民税がかかる場合があります。
不動産の譲渡所得は、所有期間などによって税率が異なるため、将来の売却まで考えて投資計画を立てることが大切です。
不動産投資では、
購入 → 保有・運営 → 売却
まで含めて税金を考える必要があります。
なお、税金の扱いは個人・法人、物件の種類、利用状況、所有期間などによって異なります。具体的な税務判断については、税理士などの専門家や税務署に確認しましょう。
キャッシュフローと税務上の利益はなぜ違う?
不動産投資では、「実際に手元に残ったお金」と「税金を計算するときの利益(所得)」が一致しないことがあります。
初心者の方が混乱しやすいポイントなので、簡単な例で考えてみましょう。
例えば年間で、
家賃収入 120万円
現金で支払った管理費・修繕費など 20万円
ローン返済 60万円
だったとします。
単純に現金の動きだけを見ると、
120万円 − 20万円 − 60万円 = 40万円
となり、40万円が手元に残るイメージです。
しかし、税金を計算するときは、ローン返済60万円をそのまま全額必要経費にできるわけではありません。
ローン返済は大きく、
元金の返済 + 利息の支払い
に分かれます。
一般に元金返済部分は必要経費にはなりません。一方、賃貸事業に対応する借入金の利息は、一定の条件のもと必要経費として扱われます。
さらに不動産には減価償却費があります。
建物などの取得価額を一定のルールに基づいて複数年に分けて必要経費にしていくもので、実際の現金支出と税務上の経費が発生するタイミングが異なります。
そのため、
キャッシュフローがプラスでも税務上の所得が大きくなる場合もあれば、現金が残っていても減価償却などによって税務上の所得が小さくなる場合もあります。
つまり不動産投資では、
① 現金はいくら残るのか
② 税務上の所得はいくらになるのか
を分けて確認することが重要です。
「節税になるから」という理由だけで物件を選ぶのではなく、まずは不動産投資そのものとして収支が成り立っているかを確認しましょう。
購入前に「この物件の収支計画は本当に大丈夫?」と不安になった場合は、第三者の視点で確認してもらう方法もあります。
不動産投資初心者が収支計算で注意したい5つのポイント
不動産投資では、購入前の収支シミュレーションが重要です。
特に初心者の方は、家賃収入を楽観的に考えすぎず、次の5つを確認しておきましょう。
① 満室前提で計算しない
現在満室の物件でも、将来ずっと満室とは限りません。
退去から次の入居まで空室期間が発生したり、入居者募集のために費用が必要になったりする可能性があります。
ある程度の空室を想定した収支も確認しておきましょう。
② 修繕費をゼロで考えない
建物や設備は時間の経過とともに劣化します。
給湯器、エアコン、水回りなど、突然交換が必要になることもあります。
毎月発生しなくても、将来の修繕に備えるお金を収支の中で考えておくことが大切です。
③ 表面利回りだけで判断しない
物件広告に掲載されている利回りは、実際の経費やローン返済などを十分に反映していない場合があります。
利回りの数字だけではなく、
「最終的にいくら現金が残るのか」
まで計算しましょう。
④ 税金を忘れない
固定資産税など、毎月ではなく年単位で発生する支出もあります。
さらに、不動産所得が発生すれば所得税や住民税などにも関係します。
毎月の収支だけではなく、年間単位でお金の流れを見ることが重要です。
⑤ 金利上昇や家賃下落も考える
変動金利で融資を利用する場合などは、将来の金利変動によって返済額や収支に影響が出る可能性があります。
また、築年数の経過や周辺の賃貸需要によって、将来の家賃が変化することもあります。
現在の条件だけではなく、
「条件が少し悪くなっても返済を続けられるか」
という視点で収支を確認しましょう。
まとめ|不動産投資は「利回り」より手元に残るお金を見る
不動産投資では、家賃収入や表面利回りだけを見て収益性を判断するのではなく、最終的にいくらお金が手元に残るのかを確認することが重要です。
今回紹介したポイントは、
① 家賃収入=利益ではない
② キャッシュフローで実際のお金の流れを見る
③ 管理費・修繕費・税金などの支出を考える
④ ローン返済と税務上の経費は同じではない
⑤ 空室・修繕・金利上昇なども想定する
という5つです。
特に不動産投資を始める前には、現在の条件だけでなく、
「空室が出たら?」
「修繕が必要になったら?」
「金利が上がったら?」
「家賃が下がったら?」
という少し厳しい条件でも収支を確認しておきましょう。
そして、不動産投資ではキャッシュフローと税務上の所得を分けて考えることも大切です。
税金だけを目的にするのではなく、まずは物件そのものが投資として成り立っているかを確認し、そのうえで融資や税金まで含めた資金計画を考えていきましょう。
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不動産投資を、もっと正直に。
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